市場の動向はどのように変化するか
売り手市場と言われている薬剤のしごとですが、今後はどのように変化することが予想されているのでしょうか。市場の動向を分析することに寄って、将来どのように市場が変わっていくのかを知る手がかりをつかめると考えます。
大学の制度改革で売り手市場が加速
2000年代に薬学部の制度改革が行われ、4年制から6年制へと大きな変革がありました。その際には、学生が有利な売り手市場が大いに加速したことは記憶に新しいです。その後も学生優位の売り手市場は続き、近年ようやく落ち着いてきたように見えます。
ただ、それでも職場によっては売り手市場は今後も継続することが想定されていて、有利に就職先を見つけられる見込みとなっています。そのため、国家試験に合格して薬学部を卒業した学生であれば、卒業後であっても就職活動で職場を見つけられるという驚きの状況となっています。
やはり、国家資格を持っているという強みが、この業界の特殊性を物語っているのではないでしょうか。
調剤薬局やドラッグストアは売り手市場
また、売り手市場は調剤薬局やドラッグストアなどで顕著です。まだまだ薬剤師の人手不足は解消されていないため、そうした条件面で売り手が有利に求職活動を行える状況となっています。特に、ドラッグストアは全国的に数が増えていて、地方に行くほど人では十分に足りていません。
配偶者の転勤で地方にいくと資格を活かしてすぐにドラッグストアなどで仕事が見つかるケースが多いですが、それだけ地方では薬剤のプロの数が足りていないということと関係があります。また、調剤薬局や一般的な薬局も、規模が小さいところでは採用に苦戦しているところがあり、求職者が有利な条件で採用されるケースが散見されている状況です。
病院勤務は病院側が優位になる傾向がある
薬剤師が有利な就職市場の中で、唯一企業側が有利となっているのが、病院業界です。特に、ハイレベルなキャリアを積む事ができるため、新卒者や若手の希望者が多く、倍率も高いのが傾向として見られます。また、離職率もそれほど高くないので、就職をしたら長く働くひとが多く、枠も他の業界に比べると少なくなっています。
また、ドラッグストアや調剤薬局に比べると、病院での採用は求人が落ち着いているという傾向が強く見られます。そのため、結果として病院側が積極的に採用を行わなくても応募者を獲得できることから、唯一買い手市場となっています。