患者の個人的な情報の取り扱い方
薬剤師は薬の調剤などの仕事をしていると、患者の個人的な情報を知ることがあります。仕事上で知ったこのような情報は正しい取り扱いをすることが求められています。ここでは、患者に関する個人情報の取り扱いについてご紹介します。
仕事をするうえで守らなければいけない守秘義務
薬剤師には守秘義務があります。守秘義務を守らなければいけないことは刑法にも規定されていて、これに違反すると刑事罰が科せられることもあります。6月以下の懲役か10万円以下の罰金のいずれかです。
守秘義務とは正当な理由がなければ、患者の秘密を漏らしてはいけないということです。医師や医薬品を販売している事業者にも同じように守秘義務があります。守秘義務を守るうえで重要になることは、何が他人に漏らしてはいけない秘密に該当するのかということです。
患者が秘密であると思っていたようなことでも、それが客観的に見て秘密に該当しないような場合には、他人に漏らしたとしても刑事罰に科せられない場合もあります。
他人に知られないことに利益がある秘密
薬剤師が守秘義務によって他人に漏らしてはいけない患者の秘密の中には、患者が他の人に知られることを望んでいない事実も含まれています。こうした事実をむやみに他人に教えてしまうと患者の人権が侵害されてしまうので、法律によって厳しく規制されています。
他人に漏らしてはいけない事実であるかどうかは、患者の利益という観点からも判断されることがあります。この場合の患者の利益とは、他人にその秘密を知られないことが、患者にとって客観的に相当な利益があるということです。
そのために、患者が他人に知られたくないと思っている秘密であっても客観的に見た場合、本人にとって相当な利益がなければ刑事罰に問われる可能性は少なくなります。
本人が知らないことであっても漏らすと罪になること
守秘義務を守るためには、患者本人が知らないことであっても話してはいけないことがあります。秘密の多くは本人も知っている場合が多いですが、中には本人も知らない秘密も存在するために、こうした決まりが作られています。
この場合の本人が知らない秘密とは、本人が知らなくてもそれを他人が知ってしまうと患者本人にとって不利益となるような事実です。このような決まりを守るためには、何が患者にとって不利益となるかをしっかりと考えることが重要になります。