漢方薬を処方するにあたって患者さんに伝えたいこと
健康志向や予防医学の観点から、近年では漢方薬を希望する患者さんが多く存在します。その漢方薬の処方を行うのも薬剤師の仕事の一つですが、患者さんに対しての服薬指導は西洋の薬と同じようにしても良いのでしょうか。
漢方薬の効果や効能の説明を丁寧に行う
漢方薬は、自然の植物や鉱物などから採取される生薬を配合して作られる薬のことで、生薬の組み合わせで何種類もの漢方薬が作られるためその数も膨大です。薬剤師はその一つ一つの薬の名前や配合された生薬の成分、効果や効能などを学んで記憶し、処方箋に沿って調合を行い患者さんに薬として提供をすることとなりますが、この時に必要な服薬指導は西洋の薬を処方する時と同じで、まずは飲み方や副作用の注意点、体に現れる効果などを説明します。
ですが、西洋の薬と異なって漢方薬は即効性のあるものは少なく、時間をかけて体を治すものですので、すぐに効果が表れなくても副作用が出ない限りは服薬を続けることを丁寧に説明をすることが求められます。
そして、ある程度の服用をしても効果が見られない場合は漢方薬の変更の可能性もあることも話して、患者さんが納得を得ることが大切です。
副作用や生薬の重複に注意をする
なお、漢方薬は自然界に存在する物質から作られているため、副作用は無い、あるいはあっても程度は低い、と捉えている方も多いですが、漢方薬にも副作用はあります。
基本的には、西洋の薬でもよく見られる腹痛や吐き気、下痢やじんましん、発汗などの症状が現れることがありますので、それらの症状が表れたらすぐに服用を中止して担当の薬剤師に連絡をすることを伝えましょう。また、生薬によってはその漢方薬が患者さんの症状に合っていても、続けて服用をしたり、生薬が重複する他の漢方薬と併用すると重篤な副作用が起こることもあります。
例えば、甘味料として用いられることもがある生薬も存在しますので、お菓子などを食べる際は原材料の欄をチェックしてから食べる、特に海外のお菓子には注意をすることも伝えます。
西洋の薬との服薬方法の違いについて
そして、西洋の薬は食後に服用をすることが多いですが、漢方薬はほとんどが食前に服用をします。飲み方の違いにより、患者さんの中には食前の服用を忘れてしまう方がいますが、そんな時は飲み忘れた漢方薬をすぐに飲むのではなく、食間の服薬や次の食前まで薬を飲むことを待つ、という服薬方法を伝えます。
逆に、漢方薬によっては、例えば即効性のあるものは症状が表れた時に飲んでも可能なこと、一度の服用で効果が得られなかった場合はもう一度服用しても良いことなど、それぞれの服薬の仕方の特徴も丁寧に説明するようにします。