単純な比較は難しいが世界各国での働き方も視野に
世界各国それぞれの国で保険制度も異なり、その背景にある税制度も違います。一概に日本と比較できるものではありませんが、ここでは海外で働いている薬剤師がどんな働き方をしているのかについて詳しく紹介しています。
病棟薬剤部では調剤補助員が活躍するイギリス
日本は世界に誇る国民皆保険制度を導入していますが、他の国ではどんな保険制度もと働いているのかを知ることも大事です。まず、イギリスは人口6400万人に対しておよそ5万人の薬剤師がいます。国の一般財源のもと賄われており全国民無料です。
ただし、原則、地元のかかりつけ医の紹介がなければ、専門医や病院にかかることはできない仕組みです。ただし、予約してもすぐに受診はできないシステムのため、まずはドラッグストアの市販薬でという人が大半になります。
病院薬剤部や薬局が主な職場で、薬局では禁煙指導や性病検査、健康指導にも報酬が支払われ、緊急性を必要とする薬剤は看護師の処方でも投与可能です。また、病院薬剤部には調剤補助員による調整が可能で、薬学部の半数はこの補助員とアシスタントで構成されています。
薬物治療マネジメントができるアメリカ
アメリカには人口約3億2千万に対して、およそ28万人が業務をこなしており、コミュニティファーマシーや長期療養施設、在宅ケアや在宅輸液療法の臨床分野に業務内容が近づいていっています。特に薬物治療マネジメントが法的に認められたことにより、単に調剤する行為以外のサービスの結果に基づく処方の変更や、薬剤の調達やコストの管理なども行っています。
調剤は日本と同じく小分け調剤が主流ですが調剤業務はファーマシーテクニシャンが行っているため、薬の監査が主です。また、長期療養施設に常駐しているので、高齢者専門の認定制度があり、そこでの働きについて行政に報告する義務も課せられています。
比較することで将来担う役割を明確に
海外の業務をみていくと、総数や補助員制度、看護師の処方箋という点で日本と比較できます。日本は薬学部数や総数が他の国に比べて飛びぬけて多いです。しかし、海外では調剤補助員制度を取り入れているところもあり、その資格者が調剤業務を行っています。
日本ではこの補助員がいないことが総数の多さにつながっています。また、日本にはないですが、薬剤師と看護師の処方箋いついても同様に考えられており、看護師のほうが実際に処方する数は多いです。薬の処方という自分の専門領域をある意味奪われているともいえます。
このような世界の現状を踏まえつつ、将来的な任務内容に関する議論を増やしていくことが求められています。