薬学教育制度に係る薬学部における修業年限
薬学部は、医療技術の高度化や医薬分業の進展に伴い、高い資質を持つ薬剤師養成のための薬学教育に係る学部の修業年限は、従前は四年制でしたが、現在は六年制です。一方で、大学院へ進学し、製薬会社や大学で研究開発に携わる人材を養成するため、四年制もあります。
薬学部の修業年限が改正された背景
薬学部が従前の四年制の修業年限に２年を加えた背景には、医薬分業によるチーム医療の育成が目標とされ、調剤中心の業務から、より医療に関わる立場へシフトさせる政策的な理由があります。
さらに、薬剤や医療研究が高度に進歩、発展することに伴って、カバーしなければならない専門知識や分野が拡大し続けていることがあります。日本においても、調剤における薬剤の知識を活用するだけでなく、医師をはじめとする医療チームの一員として治療に加わるに当たり、患者と円滑なコミュニケーションを取ったり、より高い倫理観や医学的教養を身につけることが求められています。
これらの事情から、現代の医療において求められる専門知識やスキルを修得し、即戦力となる人材を育成するためには、四年制課程では十分ではないと判断されました。
新カリキュラムの概要と各年次の学習内容
薬学教育は、モデル・コアカリキュラムに則って行われます。１年次には、化学、微生物学、物理化学の基礎など、高校で学んだ知識をより深めます。さらに、倫理学や法学、語学などの一般教養もここで履修します。
２年次からは、より専門的な知識の履修を始め、薬剤の適正な使用に役立つ生理学、臨床薬学系科目を学修し、実習関連の内容に学修します。３年次になると、実習をベースとした内容になります。４年次には、模擬患者役とのやり取りや臨床現場におけるコミュニケーション、調剤実習など、実務実習の準備が行われます。
薬学共用試験に合格すると５年次に進級できます。５年次には薬局や病院での実務実習が始まり、実際に薬剤に関する業務について経験を積み、６年次に行う卒業研究、そして国家試験対策のための勉強を行います。
研究者を目指す場合の四年制カリキュラム
薬剤に関しては、研究職になる進路もあります。製薬会社など薬学の研究職を採用する企業では、一般的に大学院修士課程以上の修了者を求めています。最低でも修士、現実には博士の学位を持っていない後研究職として就職することは、なかなか困難な面があります。
学部を卒業するのに必要な４年間の修業年限に、大学院修士課程、あるいは博士前期課程２年、さらに博士後期課程の２年を修了することが必要ですので、トータルでは６年間から８年間の時間が必要となります。製薬会社などの研究職の募集数はあまり多くありませんので、研究職に就くのは狭き門であることが言えます。
同じ薬学部でも修業年限によって進路が大きく異なります。